2018年02月18日

読了『人はなぜ物語を求めるのか』千野帽子


 本書の内容は大まかに、以下のみっつに分かれる。

@物語はどのように機能するのか。
A物語の心理的作用。
B物語の心理的作用に振り回されない生き方。

 先に言っておくと。創作に役立つのは@までだ。AとBに関しては、物語の危険性について説明した、むしろ否定論といって良い。

 ボクも一応は創作者側の人間なので分かってはいる。物語の作劇術とは、洗脳術に近くなる。
 本書はそうした、物語が人を支配する時代への警鐘といったところだろう。

 けどね? じゃあと「面白さ」を物語から排除しても、そんなの前衛的過ぎて面白くない。誰も読まないわけですよ。
 ならば物語の洗脳術を一般に広めて、危機感を持ってもらえるようになったとしても。別の創作家が新たな洗脳術を編み出して、いたちごっこだろうし。
 物語がこの世からなくなったとしても。他の洗脳術が現れますよ、絶対に。

 じゃあ、どうするか。まで本書で追求してほしかったかもなあ。

posted by はまさん at 23:25| Comment(0) | 感想的(思想・哲学)

2018年02月15日

読了『安岡正篤一日一言』安岡正泰

 この安岡正篤という人。昭和最大の黒幕と呼ばれたりしているんだが、皆さん各人でちょっと調べてみると面白いかもしれない。

 じゃあ、どんな考えを持った人なのかと読んでみたのだけれど。読み進めるうち……どうも最近になって始まった、学校の道徳科目。もしかして、この人が元ネタなんじゃなかろうか、と思えてきた。
 確かに昭和の大物政治家たちに影響を与えてきた人だし。それはあるのかもしれない。
 けど、それほどに素晴らしい教えなのか? 時代を超えた思想なのか? となると話は違ってくる。

 ものすごい大雑把な話。江戸時代後期にかけて国学てのがあって、日本の古典を勉強しようという人たちがいた。
 するとそのうち、日本独特の精神だということで天皇万歳とか言い出して。まあ尊皇攘夷運動になったり。廃仏毀釈をやらかしたりした。

 恐らくこの安岡という人は、そうした当時の風潮に合致した、最新流行の思想家だったのだろうなと。
 本書を読んでいて、何度も理論の矛盾や、安岡という人の横柄な態度が気になってしまう。
 他人を戒めている自分の言葉に、当の自分も当てはまっているのに気づいてませんよ、てなことが何度もある。

 人徳や人を見る目に関して、伝説のように語られている人だけど。これ絶対、生徒の中にかなりの「いらんことしぃ」もいたはず。
 というかそれほどの完璧超人だったならば。前の戦争だって、ああまで致命的な結果にはならなかっただろうし。
 ……第一、本当の超人だったならば。老いらくの恋の相手があの人て!? ないわー。

 というわけで、まあ頭は良いけれど、それ以上に時代と周囲が持ち上げてくれた人なのだろうなと感じた。
 現代に通用するとは限らないけれど。昭和を形作った空気、その空気の元となった思想とは、どのようなものだったのか。知るための参考になりました。

posted by はまさん at 22:21| Comment(0) | 感想的(思想・哲学)

2018年02月13日

読了『死にカタログ』寄藤文平

 人はどうやって死ぬのか。淡々と、ただ列挙した、まさにカタログ。しかし、そうして多くのケースを並べたことで、死の向こう側に見えてくるものもある。
 結果として、どう死に向かい合うかの心構えが見えてきたり。悪くない死とは、どういうものなのか分かってきたり。
 死について各自自由に考える、良き材料となっていた。けど、やはり本書はカタログ。死のマニュアルではない。そこが一番の面白いコンセプトだった。

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2016年09月14日

読了『モラルの起源』クリストファー・ボーム

 まず著者は、狩猟民族にとって肉の分配は集団においてリスク軽減のための保険システムだった。ゆえに人間は公平さという「評判」による社会選択を繰り返してきた。
 だから人にとって「良き社会」とは、寛容な社会である。人はDNAをそう選択し、進化してきたのだと説く。

 だがその「良き社会=寛容さ」も、フリーライダー(ただ乗りする人)が台無しにしてしまう。フリーライダーとは例えば、嘘つきの泥棒であり、皆の富を独り占めする乱暴者だ。
 社会に寛容さが増せば、社会にはフリーライダーが横行する。フリーライダーが増えれば、社会から寛容さは失われる。
 人間社会おてゃ、こうしたフリーライダーをどう抑圧するかの戦いだった、とも著者は説く。

 そしてグローバリゼーションの現在。全世界の人類が、ひとつの社会の成員であるかのように振る舞わなくてはならなくなった。
 かつての昔、人がまだ小さな集団に属していれば良かった時代ならば。隣に嫌なヤツがいるなら、引っ越せば良かった。しかしグローバル化した地球に逃げ場は残ってない。
 そして国の不和を解決できなくなったから、戦争するしかなくなったという。
 果たして人類は、ならず者の「フリーライダー国家」から逃げられなくなった地球上で。いかに規律と寛容さを保つべきなのか、という内容。

 そうした論拠を、比較人類学、類人猿の生態、考古学といった多彩な文献から浮かび上がらせる。 特に動物行動学的、ダーウィニズム的な理論へのこだわりは、いかにもアメリカらしいというか。
 けど「社会の富をひとりじめにする、不寛容な乱暴者」って、当のアメリカのことだよね(笑) ……と明言しないのも、アメリカらしいというか(苦笑)

posted by はまさん at 23:13| Comment(0) | 感想的(思想・哲学)

2015年10月23日

読了『「日本人」とは何者か?』別冊NHK・100分de名著

 実は既に何冊かの原著を読んでいる。おさらいと、暇つぶし目的で読むことに。

 途中から、各有名人の自分語りになってしまい、本題から逸れてしまっている箇所が割とあった。それも名著ゆえ、どうしても一家言を持ってしまうのだろう。

 だから解説書としては不親切だが、そういう本なのだから仕方ない。有名の感想文として読めば良いだろう。
posted by はまさん at 23:08| Comment(0) | 感想的(思想・哲学)