2016年11月02日

2016年11月01日

読了『ゴブリンスレイヤー 1・2』蝸牛くも

 TRPGプレイヤー、特に『ソードワールドRPG』プレイヤーならば、言わずともわかる、そのまんまな世界観。そこに『指輪物語』リスペクトも入り、「そっちの人」なら思わずニヤけずにいられないだろう。
 その上で、ベタを逆手に取った発想という上手さがある。

 TRPGプレイヤーならば、誰しもが考えたことがあるはずの問題がある。RPGのルールにない細部を、小説でどう描くか?
 これが『ゴブリンスレイヤー』という作品の焦点になってくる。

 小説で描かれる世界とは、ルールのない、つまりはリアルな世界であるはずだ。もちろん「戦い方」にもルールがないのが、リアルというもの。
 すると、途端にゴブリンというザコモンスターが恐ろしくキャラが立ち上がってくる。

 パラメーターにないゴブリンの邪悪さに、人々の日常生活は脅かされる。弱いはずのゴブリンに、ゴブリンを恐れる民草。どちらもゲームルールとしては切り捨てられた「細部」だ。
 だが、この細部にこそリアルが存在する。そうした細部を積み重ねた結果が、ゴブリンの恐ろしさであり、英雄としてのゴブリンスレイヤーということになる。

 確かに「ゴブリンスレイヤー」というネタ自体はパロディだ。だからゴブリンスレイヤーは冒険者仲間からは、しばしば笑いものにされる。
 しかし彼らは、まさに「その世界」のリアルの中で生きている存在だ。だから、すぐゴブリンスレイヤーを笑えなくなる。

 これは「俺TUEE」への批評的作品でもあるのだろう。
 この世界には、ごく一部の選ばれた者にのみチートがある。だがゴブリン相手に周到な用意をするゴブリンスレイヤーに、チートの介入する余地はない。彼らはリアルの中で生きていて、異世界から転生した客人などではない。
 そこには最後まで、そこで生き抜かねばならない者の姿がある。

 だからこそゴブリンスレイヤーは、英雄になりうる。これは立派な英雄譚だ。
 素材はパロディなのに、全く見事な料理の腕前といえる。


posted by はまさん at 23:05| Comment(0) | 感想的(小説)

2016年10月31日

読了『マンガでわかるビブリオバトルに挑戦!』谷口忠太

 前々からビブリオバトルに興味はあった。けど、なにをどうするのか、あまり理解できていなかった。
 本書ではビブリオバトルを漫画としてストーリー形式で、「流れ」として解説している。だから感情移入しやすい。また「ゲームである」という大胆な要約により、よりいっそう理解は深まった気がする。

 ビブリオバトルに関して、この本が一番わかりやすいかもしれない。

posted by はまさん at 22:29| Comment(0) | 感想的(作劇・文学論)

2016年10月30日

読了『本気で作家になりたければ漱石に学べ!』渡部直己

 シリーズの前作は、修行中たいへんお世話になった。が、なぜか本書だけ棚に積んだままだったので、改めて読むことに。

 このシリーズは初心者だと、読むのもキツい内容だろう。中級者でも完全な理解には苦労するはず。けど、さすがにボクも今となっては、大半の内容を他の本で既に知っていたりして。
 むしろ基礎だなあ、という感懐になっていた。

 となると次は本書の粗が見えてくる。
 まず悪文例が、どうも趣味が悪い。その例に挙げられた作品の作者も読者も、小馬鹿にして扱き下ろすのには、ドン引きしてしまう。
 実は悪文例でも、良例としてあげられている漱石の文章と、同じ手法を使っていたりするのだが。じゃあ、なぜそちらは悪例なのか。違いが分かりにくい。
 読む難易度が高くなっているのは、この辺りの「勝手に察しろ」とでもいうべき説明不足にあるのではないか。

 この説明不足。今になったボクならば、代わりに説明できる。つまりは、作者がモチーフに介入するな、視点に徹しろ。ということなのだろう。
 けど本書には、その説明はない。つまり筆者は自らの感性をそこまで、徹底的に自己分析できていない。片手落ちな記述。だから読むのが難しくなってしまう。
 そこは明らかな、筆者の落ち度だ。ゆえに「この程度は分かれよ」「勝手に察しろ」というような、ドヤ顔に腹が立ってしまう。
 ……これも筆者が読み専門、批評専門ゆえなのかな?

 また読み専門ゆえの、これも片手落ちになるだろう。ストーリーテリングに関する記述はない。小説というものは本当ならば、文章とストーリーとが相補関係にあるというのに。
 だから手法は紹介できても。その手法をどんな時に使うのか、という運用に関してまで考えられていない。

 そう考えると初心者にとっては権威のようにすら思われたこの本も。つまりは「名人様」の上から目線であるのだな、と気づかされた。絶対唯一最高というわけではない。
 ただ真に受けない限りは、中級者くらいまでなら充分な内容だと思う。

posted by はまさん at 23:24| Comment(0) | 感想的(作劇・文学論)

2016年10月29日

読了『猫と竜』アマラ

 テンプレに頼らない、ストーリーテリングのみで展開する。今のweb小説としては珍しいのかもしれないが、これからは、こういうのが主流になる気がする。
 ただ、一冊では広げた風呂敷が畳み切れておらず。面白い作品ではあったけれど、結論はちょっと出せないところ。

posted by はまさん at 00:31| Comment(0) | 感想的(小説)